2015年 千葉大学医学部 化学 過去問 解説

解答方式 時間 大問数 難易度
記述 60分 4問 やや難

 

■設問別分析

大問 区分 内容  
2 電気分解・半反応式 電解槽が3つある電気分解の問題。正確な電気分解反応の理解が求められる。陽極と陰極でどのような反応が起こるか(特に水が反応に参加するのか)を理解できるようにしておきたい。問題のレベルや計算のレベルは高くない。ただし量が多いため、すばやく処理できる計算力、記述慣れが必要である。

 

標準
3 分子量の測定(デュマ法) 分子量の測定に関する問題。問1問2の熱化学に関する記述問題は完答したい。分子量の測定に関する問題は通常は測定気体の凝縮後の質量は単純に求められるが、今回の問題のように、凝縮後の液体の蒸気圧が明示されている場合、その蒸気圧によって追い出される空気の質量を考慮することを求められていることに注意したい。この測定法はデュマ法と呼ばれるが、その測定誤差は質量に関する誤差の影響が一番大きいため、追い出される空気の質量を考慮する・しないで計算結果は違ったものになる。
4 芳香族の構造式の決定 問題に与えられた条件から、5種類の構造異性体が考えられるかが全て。条件を元に順序良く分子式から特定したい。

この大問が合否の分かれ目になる。分子式C10H10から①ベンゼン環と五員環を作るためには五員環の一辺がベンゼン環と共有される必要がある。さらにベンゼン部(C6H5-)を除いたC4H5-の部分はアルキン型の分子式であることから、環状構造(五員環)+二重結合一つが決定される。次に二重結合が五員環内とそうでない場合に分ける。以上のような手順で効率的に異性体を特定したい。これができれば以降の問題は解きやすいが、逆にここで躓くと解答は困難。

6 タンパク質 第4問に比べ難易度は低いが、単純タンパク質と複合タンパク質の具体的な要素を問2で問われている。千葉大入試においては、実験器具などの踏み込んだ知識が問われることもあるため、こだわった暗記が必要である(第一問ではキップの装置の具体的な使用手順が問われている)。問5に見られるような質量比と分子量からαアミノ酸を特定させる問題は入試頻出。レベルは標準ながらも落とせない。問7のビウレット反応の問題では、トリペプチド以上が対象となるため切れ方全てでなく、ペンタ(1種)・テトラ(2種)・トリペプチド(3種)の6種類になることに注意したい。 標準